著明な脳浮腫を認めた劇症肝炎- page 1

昭和大学医学部第二内科

馬場俊之先生

症例:63歳 女性

主訴:肝機能障害

現病歴:1997年7月1日より、感冒様症状があり、7月6日より褐色尿を認め、7月10日にT病院を受診。当日の血液検査にて、GOT 8800、GPT 7990、LDH 7080、ALP 943、γ‐GTP 92、T-Bil 7.3、D-Bil 4.6と著明な肝機能障害を認めたため入院となった。7月11日の血液検査では、GOT 6940、GPT 7460、LDH 3650、ALP 965、γ‐GTP 98、T-Bil 9.2、D-Bil 5.1、PT 11%、アンモニア156μg/mlと黄疸の増悪と凝固因子の低下を認め、劇症肝炎への進行を考慮し、7月11日に当院に転院となった。今までの献血では、HBV/HCVの指摘を受けたことはない。過去数ヶ月以内にHBVキャリアー(HBsAg+、HBsAb-,HBeAg-、HBeAb+、HBcAb+)とSexual contactがあったという。

既往歴:特記すべき事なし。

家族歴:特記すべき事なし。

生活歴:飲酒歴なし。喫煙歴なし。薬物歴なし。輸血・手術歴なし。

入院時現症

眼球結膜黄疸あり、眼臉結膜貧血なし。

肝脾触知せず

入院時検査成績

入院後経過

入院時、肝性昏睡II度を呈し、PT 6%と低値であり、B型の劇症肝炎と診断した。ステロイドパルス療法(1000mgから開始し漸減)、IFN-βの投与(3MU x4回)を、肝不全に対して、血症交換(PE)3回、血液濾過(HD)4回施行したところ、肝炎は沈静化し、肝機能は改善した。1997年8月21日肝生検を施行した。

なお、入院後もIII-300の意識障害が持続し、脳浮腫、肝性脳症に対する治療を行った。現在は覚醒しているが、後遺症としてEpilepsy発作を起こすことがある。

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