より詳細な分類

急性白血病
分類
骨髄や末梢血中に芽球あるいは白血病細胞と呼ばれる未分化な血球が多数みられる。急性白血病の病型の確定は、これら芽球の形態的特徴で決められる。

1)急性骨髄性白血病(acute myeloid leukemia, AML):骨髄芽球性白血病、前骨髄芽球性白血病、単球性白血病、骨髄単球性白血病、赤白血病、巨核球性白血病。ミエロペルオキシダーゼ(myeloperoxidase, MPO)染色陽性でアウエル小体がみられる。

急性骨髄芽球性白血病(M1)の骨髄:MPO陽性(左;青く染色されている)、Auer小体が認められる(右;矢印)。

2)急性リンパ性白血病(acute lymphoblastic leukemia, ALL):Tリンパ球性白血病、Bリンパ球性白血病、null cellリンパ球性白血病。MPO陰性でAuer小体陰性。


急性リンパ性白血病(L1)の骨髄:いずれもALLのL1。リンパ芽球は小型で細胞質は狭く、核の形は規則性があり、核小体ははっきりしない。


FAB分類
French-American-Britishグループの提案した急性白血病の分類。
AMLをM0からM7の8病型に、ALLをL0からL3に分類する。小児のALLの多くはL1、成人のALLの多くはL2でる。

M0:最も未分化な骨髄芽球性白血病。CD13またはCD33が陽性。MPO(ミエロペルオキシダーゼ)陽性率3%以下。


M1:古典的な骨髄芽球性白血病。AMLの約25%。MPO陽性率3%以上。


M2:分化型骨髄性白血病。骨髄芽球が顆粒球系への明らかな分化傾向を示す。 MPO強陽性。


M3:急性前骨髄性白血病(acute promyelocitic leukemia, APL)に相当する。白血病細胞が前骨髄球のレベルにまで分化している。MPO強陽性でアズール顆粒が無数に細胞質内に認められる。アズール顆粒はprocoagulant活性を持ちDICを起こしやすいのが特徴である。活性型ビタミンAであるall-trans retinoic acid (ATRA)の内服で高率に完全寛解に到る。ATRAにより前骨髄球が成熟好中球へ分化する。*分化誘導療法


M4:骨髄単球性白血病。骨髄系と単球系の白血病細胞が混在し、芽球は骨髄の30%以上を占めているが、単球系細胞が骨髄の20%以上を占めるか、末梢血で単球系細胞が5、000/μl以上認められる。


M5:単球系白血病。単球系が80%以上を占める。M5aとM5bに分けられ、M5aは未分化で単芽球が主体を占め、M5bは前単球や単球までの分化傾向がある。頻度は低く、治療成績は不良の例が多い。

M5a

M5b


M6:古典的な赤白血病。骨髄の50%以上が異型性のある異常赤芽球に占められ、芽球は赤芽球以外の30%以上を占める。(赤芽球50%以上の骨髄で、芽球が赤芽球以外の残りの細胞の30%以下ならば、骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome, MDS)の芽球過剰型不応性貧血に分類する)。頻度は低く、治療成績は不良の例が多い。


M7:巨核球性白血病。芽球の30%以上が巨核球性である。血小板ペルオキシダーゼを電顕的に証明できる。また、CD41が陽性である。


L1:小型均一のリンパ芽球。小リンパ球大からその2倍程度。


L2:大型大小不同のリンバ芽球。核小体が明瞭で、核形の不整も認められる。


L3:大型均一なリンパ芽球で細胞質は広く、強塩基性、空胞が顕著である。