脳・神経疾患:脳腫瘍、筋萎縮性側策硬化症、多発性硬化症、進行性筋ジストロフィー、重症筋無力症、パーキンソン病、アルツハイマー病、脳血管性痴呆

脳腫瘍

脳神経系の腫瘍性疾患:
神経膠腫 glioma、髄膜腫 meningioma、神経鞘腫 neurinoma、下垂体腫瘍 pituitary adenoma、血管腫 hemangioma、肉腫 sarcoma、転移性腫瘍、脊髄腫瘍、末梢神経腫瘍

脳腫瘍の約50%は神経膠から発生。

徐々に発生する局所症状と頭蓋内圧亢進症候(頭痛、嘔吐、乳頭浮腫など)を呈する。

外科手術、放射線療法、化学療法

*下垂体線種: 両側耳側半盲、頭痛、下垂体ホルモン異常(成長ホルモン、プロラクチン、副腎皮質刺激ホルモン、甲状腺刺激ホルモン、性腺刺激ホルモン;抗利尿ホルモン、オキシトシン)


筋萎縮性側索硬化症

ALS
Amyotrophic Lateral Sclerosis
10万人に2.5から7人
症状
 筋萎縮と筋力低下;線維束攣縮(ミオクローヌス)を伴う
 症状:舌、咽頭、喉頭筋の萎縮、構音障
     害、嚥下障害
 深部反射亢進
 Babinski徴候陽性

 感覚障害、膀胱障害、褥創はまれ
50%は3年以内、90%は6年以内に死亡。



多発性硬化症

中枢神経系の炎症脱髄疾患の1つ。
多彩な中枢神経の症状を呈する。(球後視神経炎の20%はMSにより、視力障害を初発症状とすることが多い)。
若年成人に急速な発症で起こり、再発寛解を繰り返す。
視力障害、小脳失調、四肢麻痺、感覚障害、膀胱直腸障害、歩行障害、内側縦束症候群(脳室周囲がおかされる)。
髄液でオリゴクローナルIgGバンドを認め、ミエリン塩基性蛋白高値。
初発時メチルプレドニゾロンによるパルス療法、インターフェロンが再発防止に有効。

進行性筋ジストロフィー

●Progressive muscular dystrophy (PMD)
骨格筋の変性、壊死が起こり、進行性の筋力低下と筋萎縮を呈する遺伝性疾患。

●筋細胞が壊死し、筋肉由来の血清クレアチニンキナーゼが上昇。
●分類
1)Duchenne型:X染色体劣性遺伝
2)顔面、肩甲、上腕型(FSH):常染色体優性遺伝
3)肢帯型:常染色体劣性遺伝
4)その他

重症筋無力症

アセチルコリン受容体に対する自己抗体が産生されるためと考えられている。

眼瞼下垂
四肢筋および頚筋の脱力

コリンエステラーゼ
副腎皮質ホルモン
免疫抑制剤
胸腺摘出術

パーキンソン病

Parkinson病
症状:3徴
振戦Tremor
強剛Rigidity
寡動Akinesis

黒質線条体ドーパミン性神経細胞の障害。(MPTP, 1-methyl-4-phenyl-1,2,3,6-tetrahydropyridineを投与すると起きる)
線条体、黒質でドーパミンの低下とチロジン脱水素酵素が低下。

50-70歳での発症が多い。

Parkinson症候群
 血管障害性パーキンソニズム
 薬物性パーキンソニズム
 マンガン中毒
 変性疾患

パーキンソン病の薬物療法

神経保護薬:Selegiline
症状緩和薬:L-dopa
ドーパミン作用薬:Bromocriptine, Pergolide、Pramipexole、Ropiniroleなど
抗コリン薬:Trihexyphenidyl, Benztropine, Beperiden, Orphenadrine、Procyclidineなど
その他:Amantadine、Estrogen

痴呆(認知症)性疾患

I.変性疾患
 1)痴呆(認知症)を主症状とするもの
    Alzheimer
    Pick病
    レビー小体を伴う痴呆
前頭側頭葉痴呆 Frontotemporal dementia

 2)変性疾患に伴う痴呆(認知症)
    Parkinson病
    Huntington舞踏病
    他
II.続発性痴呆(認知症)
 1)脳血管性痴呆(認知症)=multi-infarct dementia 老年期痴呆(認知症)の10-20%(米国)。
 2)低酸素
 3)感染症:進行麻痺、Creutzfeldt-Jakob病、AIDS、ヘルペス脳炎
 4)水頭症
 5)血液疾患
 6)内分泌疾患
 7)薬物:5-FU, Methotrexate, Tegafulなど

臨床痴呆(認知症)評価
主要項目 疑い 0.5点 軽度 1点 中等度 2点
記憶
軽い物忘れ;問題を起こさない程度の物忘れ;出来事を部分的に思い出せる 中等度の記憶障害;最近のことほど物忘れがひどい;日常の活動に支障をきたす 高度の記憶障害;一生懸命学んだことだけは覚えている;新しいことはすぐに忘れる
副次項目
オリエンテーション 時間関係について軽いオリエンテーションの障害があるがそれ以外に問題なし 時間関係について中等度の障害;場所のオリエンテーションについては検査を行うときは問題ない;その他の場所では地理的オリエンテーションが分からなくなることがある 時間関係について高度の障害;通常時間のオリエンテーションに障害があり、しばしば場所についても障害がある
判断と問題解決 問題解決、類似性の判定、差異の判定に軽度の障害がある 問題の取り扱い、類似性の判定、差異の判定に中等度の障害がある;社会的判断は通常保たれている 問題の取り扱い、類似性の判定、差異の判定が高度に障害されている;社会的判断は通常障害されている
社会的活動 仕事、買い物、ボランティア活動、社会的グループでの活動が1人では軽度障害あり 左記の活動にある程度はかかわりをもっているが、が1人ではできない;一見正常に見える 家庭以外では1人で活動できない
家庭生活と趣味 家庭生活、趣味、知的興味が軽度障害されている 家庭における機能が軽度だが確実に障害されている;比較的難しい作業はできない;比較的複雑な趣味や興味は失う 単純な機能のみ保たれている;非常に興味の範囲が限られており、飽きっぽい
身の回りの世話 自分のことはすべて自分でできる 催促されないとしない 着衣、清潔を保つこと、個人的な趣向を保つことに手助けが必要
*障害というのは本人の通常のレベルより低いことを言う。副次項目の点数の合計が主要項目(記憶)の点数を上回る場合には、前者を用いる。そうでない場合には、主要項目の点数を用いる。


アルツハイマー病

Alzheimer's disease
●大脳皮質の神経細胞の脱落、変性、神経原線維変化、老人斑:大脳半球の障害はびまん性ではない。
●CTスキャン、MRIで脳の萎縮。MRIによる両側の海馬の萎縮が認められるが、感度・特異度は低い。

**ADに特異的な臨床検査は無い。臨床症状から診断可能。

DSM-IV診断基準の感度・特異度は76から80%
1.記憶障害
2.以下の症状のうち少なくとも1つ:
失語、失行、失認、執行機能の障害
3.1及び2の障害により仕事、社会活動、人間関係
4.錯乱状態では障害が起きない
アルツハイマー型痴呆では次の特徴がある:
はじまりがゆっくりで徐々に認知能が低下する/他の疾患、精神疾患、神経疾患によるものではない。
血管性痴呆:
局所神経症状、脳血管障害の異常が検査で認められる
ほかの原因による痴呆:
HIV, 頭部外傷、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、ピック病、クロイツフェルト・ヤコブ病それぞれの臨床所見、検査所見。

●症状は徐々に始まり、進行する。
徐々に出現する健忘
失行
計算障害
頓着、無感動、落ちつきがない
判断力の低下
失見当識
徘徊する
学習能力の低下
反復行為
性格変化
多動でまとまりのない行動異常
異常な収集

治療

安全について
運転:通常、CDRが1以上になると事故の頻度が高くなる。アルツハイマー病でCDRが0.5の場合には、事故の頻度が高くなる。本人と家族に伝える必要がある。

調理:
徘徊:
転倒:大腿骨頚部骨折をおこすと寝たきりになってしまう。
攻撃的行動:

薬物療法
アリセプトが認知障害に有効で、進行を遅らせる。

記憶障害に対して:Tacrine, Donepezil, Rivastigmine, Galantamineなどのコリンエステラーゼ阻害薬
行動障害に対して:
妄想、幻覚:Chlorpromazine, Thioridazine, Haloperidol, Fluphenazine, Olanzapine, Quetiapine, Clozapine, Risperidone

うつ状態:Citalopram, Sertraline, Amitriptyline, Fluoxetine, Nortriptyline, Paroxetine, Venlafaxine, Mirtazapine, Bupropion
攻撃性、不安:Trazodone, Buspirone, Propranolol

疾患修飾薬
ビタミンE、Selegiline、Estrogen、Indomethacin, Misoprostol、Hydroxychloroquine、Denepezil、Simvastatin, Lovastatin



脳血管性痴呆

脳血管障害に関連して起きる認知症の総称。

・広範虚血型
多発脳梗塞
・限局性脳梗塞型

まだら認知症=記憶障害、自発性低下、意欲低下、無関心などがみられ、判断力、理解力、人格などは比較的保たれる。

MRIで多発性脳梗塞がみられる。

自発性低下、情緒障害→ニセルゴリン