てんかんEpilepsy

脳内に焦点性あるいはびまん性におこる発作性律動異常波を伴い、明らかな脳外性の原因なしに一過性かつ反復性におこる身体的、精神的発作を示す異常症候群である。

人口1000人に約5人。

診断上脳波に発作性律動異常波をみることが特徴である。睡眠、過呼吸、光や音刺激で賦活すると異常が誘導されやすい。発作は周期的、反復性で一定の型をとり、間欠期には異常がない。

治療:抗てんかん薬(バルビツール酸、ヒダントイン剤、オキサゾリジン剤など)を投与する。


分類
原因による分類
1)原因不明の特発性てんかん
2)過去の疾患の後遺症としての残遺性てんかん
3)現在進行中の脳疾患あるいは全身疾患による症候性てんかん

発作型による分類
1)痙攣発作群
  a)大発作grand mal

一般に前兆Auraがあり、突然意識を失い、全身性緊張性痙攣、頭部および眼球の偏位から同期性の四肢の間代性痙攣が起きる。顎関節の間代性痙攣により舌をかみ、横隔膜の痙攣によりしばしば泡を吹く。発作の持続は1−5分で、この間に尿失禁を認めることが少なくない。発作後数時間は深い睡眠に陥るか、昏睡状態が続く。これを後睡眠という。

  b)焦点性発作focal seizure (Jackson型痙攣)

常に身体の一定部位より非対称性に始まる。短い発作では顔面や手足の一群の筋攣縮のみで、数十秒で終わり、意識障害を伴わないことが多い。発作が続くと順次他の筋群に一定の順序でひろがり、一肢、半身、さらに全身の痙攣を起こす。発作が拡大すると意識の消失をきたし、大発作と同じになる。

2)小発作petit mal またはアブサンス Absence

前兆がなく、1−20秒の短い発作で必ず意識障害を伴う。日常生活の中で、急に無我の状態に入るような様子になる。空間凝視、瞬目運動、口唇での吸引、顔面の運動などを示すことが多い。痙攣は顔面筋にわずかに現れるのみである。

3)精神運動発作psychomotor proper seizure

前兆としてしばしば、胃腸症状を認め、10−60秒と短い発作と1−5分と長いものまである。意識は常に消失し、周囲に対して無意味な行動を示すことを特徴とする。舌打ち、瞬き、頭をのけぞらせる、ボタンをはずす、歩き回る、など周囲と関連のない行動をとる。発作後は眠りに陥るか、全身性の痙攣に移行して終わる。

4)精神発作

精神症状が発作性に現れるもの。

<てんかん発作の国際分類>

1.部分発作

@単純部分発作:意識の保たれる発作
a)運動症状を示すもの(回転、姿勢、運動など)
b)感覚症状を示すもの(視覚、聴覚、味覚、嗅覚など)
c)自律神経症状(吐き気、発汗、立毛、顔面蒼白など)
d)精神症状(既視体験、恐怖、巨視、音楽、情景など)

A複雑部分発作:意識の無くなる発作
a)単純部分発作から移行するもの
b)はじめから意識が無くなるもの

B二次性全般化:@やAに続いてけいれん発作が起こるもの

2.全般発作

@欠神発作:短時間意識がなくなりぼーっとするもの
Aミオクロニー発作:身体の一部または全身の筋肉がピクンピクンとけいれんするもの
B間代発作:カクンカクンとけいれんするもの
C強直発作:全身の筋肉が突っ張り堅くなるもの
D強直間代発作:Cに続きBを起こすもの
E脱力発作:ガクンと全身の筋肉の力が抜けるもの