内分泌疾患:下垂体疾患、尿崩症、甲状腺機能亢進症、慢性甲状腺炎、亜急性甲状腺炎、無痛性甲状腺炎、副腎疾患

内分泌疾患と主要症状

内分泌腺は身体のいろいろな機能を生理的代謝的な面から調節する器官であって、血液の中にホルモンを分泌し、これらのホルモンはそれぞれの標的器官に達して、一定のメッセージを伝え、その作用を調節する。内分泌器官は最も小さくホルモンも微量しか存在しないが作用は重大で不可欠である。

内分泌系の疾患で出現する症状には以下のようなものがある:
肥満obesity
るいそうemanciation
巨人症gigantism
小人症dwarfism
性発育異常abnormal sexual development
多尿polyuria
筋無力症muscle weakness
高血圧hypertension
低血圧hypotension

下垂体疾患

・先端巨大症 Acromegaly 、下垂体性巨人症 Pituitary giantism:成長ホルモンの過剰

・下垂体性小人症 Pituitary dwarfism:発育期成長ホルモン分泌障害

・尿崩症 Diabetes insipidus:ADH 分泌障害。低比重の尿が大量に出る(4-15l/day)

・ADH 不適合分泌症候群 Syndrome of inappropriate sectretion of ADH (SIADH):ADHの不適当な分泌の持続。ADH 産生腫瘍、中枢神経疾患、特発性。低ナトリウム血症。

甲状腺機能亢進症の症状

頻脈(120/分前後におよぶ)、手指振戦、皮膚の湿潤、発汗、甲状腺腫、さらに眼症状(眼球突出、グレーフェ徴候、メビウス徴候)。眼症状を伴っていればまず典型的なバセドウ病と考えて良い。高齢者のバセドウ病では不整脈(心房細動)が主症状となることもある。また、最近の急速な体重減少、頻回の便通などが聞き出せればより診断が確実となる。

* 甲状腺クリーゼ Thyroid crisis, thyrotoxic storm : バセドウ病患者に強いストレスが加わった場合、例えば抜歯などの手術後、中毒症状 Thyrotoxicosis が出現することがある( 心悸亢進、振戦、下痢、悪心、嘔吐、脱水、精神錯乱、昏睡、心房細動、心不全、黄疸、ショックなど)。無機ヨード、抗甲状腺剤、β遮断薬、副腎皮質ステロイドを投与する。





分類

  1.バセドウ病
  2.下垂体TSH産生腫瘍
  3.亜急性甲状腺炎
  4.Silent thyroiditis(無痛性甲状腺炎)
  5.Thyrotoxicosis factitia(甲状腺薬中毒症、外因性甲状腺ホルモン中毒症)
  6.ホルモン産生のアデノーマまたは癌
  7.橋本病の一過性増悪
  8.胎盤由来の腫瘍

検査成績

血中FT4 (free thyroxine 4) の上昇とTSH (thyroid stimulating hormone)の低下が認められるのでまずこれらを測定する。FT4よりFT3の上昇を認める例が多い。次いで必要に応じて、 FT3 、TSH receptor antibody (TRAb)、抗ミクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体を測定する。破壊性甲状腺炎例えば亜急性甲状腺炎(有痛性甲状腺腫がある)が疑われる場合、赤沈、CRPなども必要。
123I-uptakeの測定が甲状腺機能亢進症の診断に一番確実といわれる。Alp(骨型) 上昇、総コレステロール値の低下、軽度の血糖上昇なども認められることがある。

* 甲状腺ホルモンにはthyroxine (T4)とTriiodthyronine (T3)があるがそれらの大半が血中ではサイロキシン結合蛋白 (thyroxine-binding protein, TBP)に結合しており、FT4はT4の0.03%、FT3はT3の0.3%にすぎない。しかし、これら遊離ホルモンが生物学的活性を持っていて、TBPの増減による影響を受けないので、甲状腺機能の最も優れた指標とされている。

*T3, T4の分泌は下垂体のTSHによって調節されている。TSHの分泌はネガティブフィードバックにより調節される。TSH濃度とT4濃度の間には、log-linearな相関があり、T4のわずかな変動により、TSHの濃度が大きく変化する。したがって、平衡状態にあり、下垂体や視床下部に異常がなければ、TSHの濃度が甲状腺機能の敏感な指標になる。



*TSH測定法:第3世代のケミルミネッセンスを用いる方法の測定限界は0.01mU/Lである。TSHの正常範囲は0.5−5.0mU/Lなので、第3世代の方法であれば、甲状腺機能亢進症でTSHが低下した場合でも、ほぼ正確に測定することができる。

*Cost-effectivenessを考慮したスクリーニング検査:
TSHを測定−結果が正常であればそれ以上の検査は行わない
TSHを測定−上昇していれば、FT4を測定し甲状腺機能低下の程度をみる
TSHを測定−低下していれば、FT3,FT4を測定し甲状腺機能亢進の程度をみる。
なお、スクリーニング検査でTSHとFT4を最初から測定することを勧める意見もある。

甲状腺機能検査:結果の解釈

視床下部−下垂体が正常の場合

TSH Free T4 Free T3 解釈
正常 正常 正常 Euthyroid
正常 上昇 正常または上昇 Euthyroid hyperthyroxinemia
正常 低下 正常または低下 Euthyroid hypothyaroxinemia
正常 低下 正常または上昇 Euthyroid: triiodothyronine therapy
正常 正常範囲低値 正常または上昇 Euthyroid: thyroid extract therapy
上昇 低下 正常または低下 Primary hypothyroidism
上昇 正常 正常 Subclinical hypothyroidism
低下 上昇または正常 上昇 Hyperthyroidism
低下 正常 正常 Subclinical hyperthyroidism

視床下部−下垂体に異常がある場合
TSH Free T4 Free T3 解釈
正常または上昇 上昇 上昇TSH-mediated hyperthyroidism
正常または低下または軽度上昇 低下または正常範囲低値 正常 Central hypothyroidism


治療

●抗甲状腺剤の投与
 メチマゾール(MMI; メルカゾール)
 プロピルチオウラシル(PTU; プロパジールなど)
の二種類あるが、効果副作用の点からメチマゾールが使われることが多い。PTUは乳汁への分泌が少ないので患者が授乳を希望する場合にはPTUを使う。合成を阻害する薬なので効果が出るまで通常1-3か月を要する。

 MMIは1割近くで例で薬疹を来たし、肝障害を引き起こす例もあるのでその場合もPTUに切り換える。副作用として顆粒球減少症あるいは無顆粒球症が服薬開始後2-12週でおきることがある。

 6錠(MMI 30mg, PTU 300mg)/日分3から開始し甲状腺機能の正常化とともに減量して維持量を決める。多くの例では1-3か月で正常化するので以後減量する。TSHを正常範囲(0.5-4.0μU/ml)に保つよう維持量を決める。不十分な場合には12錠まで増量しても良いが、薬物療法でコントロールできない場合にはアイソトープ療法、外科的療法が行われる。甲状腺腫の強い場合にそのような例が多いとされている。

β遮断薬は心悸亢進、振戦、発汗過多など交感神経刺激症状の軽減のためプロプラノロールなどが一時的に投与される。

無機ヨードは大量に投与すると甲状腺ホルモンの合成と分泌が急速に抑制される。甲状腺クリーゼ、妊娠、手術前など急いで甲状腺機能亢進症を改善する必要のある時に用いる。2-3週間は有効である。(ヨーレチン6-9錠分3)。

Hypothyroidismの分類

 1.橋本病:最も頻度が高い
   TSH binding inhibitory immunoglobulin陽性のもの
   TSH binding inhibitory immunoglobulin陰性のもの
   過剰ヨード摂取したもの

 2.下垂体機能低下(二次性):TSH単独欠損症、特発性下垂体機能低下症、Sheehan症候群、下垂体腫瘍、外科的治療・放射線治療など

 3.視床下部性機能低下(三次性):脳腫瘍、好酸球性肉芽腫、放射線治療など
 4.バセドウ病に対する抗甲状腺剤の過剰投与
 5.仮性副甲状腺機能低下症
 6.アミロイド、鉄などの沈着、シスチン蓄積症
 7.先天性酵素欠損、先天性サイログロブリン合成障害、
 8.ヨード欠乏
 9.特発性粘液水腫
 10.医原性甲状腺機能低下症:手術、放射性ヨード療法、放射線治療など
 11.甲状腺ホルモン不応症(Refetoff症候群):先天性に甲状腺ホルモン受容体が欠損。

なお、新生児期・幼小児期に甲状腺機能低下症に陥ると発育障害、知能低下がおき、クレチン症と呼んで区別する。

症状
浮腫状顔貌、便秘、易疲労性、寒がり、皮膚乾燥、記憶力低下、低体温、脱毛、口唇肥厚、嗄声、徐脈、低血圧、体重増加、下肢筋の痙攣、粘液水腫、などの症状を認める。またアキレス腱反射の筋収縮後の回復が遅い。

検査成績

血中FT4 (free thyroxine 4)、 FT3 とTSH (thyroid stimulating hormone)を測定する。甲状腺機能低下症では前2者が低下しTSHはネガティブ・フィードバックの欠如のため上昇する。また、123I-uptakeも低下する。これらに、さらに自己抗体であるTSH-binding inhibitor immunoglobulin (TBII)を測定しておく。総コレステロールは上昇することが多い。

治療

ホルモン補充療法すなわち甲状腺ホルモン剤を投与する。合成甲状腺ホルモン(T4)であるL-thyroxine Na(チラジンS)であれば100-300μg/日を投与する。ただし、長期にわたる甲状腺機能低下症では甲状腺ホルモンに対する感受性が亢進しているため、少量から始めて徐々に増量することが必要である。

慢性甲状腺炎 Chronic thyroiditis

1912年九州大学の橋本策博士が始めて報告したことから橋本病とも呼ばれる。臓器特異的自己免疫疾患の代表である。病変が進行すれば甲状腺機能低下症に陥る。一時的に甲状腺機能亢進症を来すこともある。

甲状腺疾患患者の内20%が本症で、バセドウ病についで頻度が高い。自覚症状が乏しいため実際には30代から40代の女性に限ると10%位の有病率が想定されている。男女比はバセドウ病が1:4であるのに対して1:15と圧倒的に女性に多い。
血中の抗サイログロブリン抗体、抗ミクロゾ- ム抗体陽性でこれら自己抗体を介したADCC (antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity)および細胞障害性T細胞による細胞破壊が原因と考えている。

甲状腺腫が唯一の症状であることが多く、甲状腺の触診が重要である。甲状腺は一様に腫大し、表面はバセドウ病のように平滑でなく、微細顆粒状の凹凸としてふれ、粗顆粒状あるいは小結節状に触れることもある。硬さは弾性硬 (elastic hard) である。病変が軽度の場合にはやや柔らかく単純性甲状腺腫と鑑別が困難なこともある。



亜急性甲状腺炎Subacute thyroiditis, subacute painful thyroiditis :

亜急性の非化膿性の炎症。しばしば上気道感染に続発し、ウイルス説が有力。男女比1:4。

症状
発熱、有痛性甲状腺腫大、全身の著しい倦怠感を主訴に来院する。前頚部の痛みが耳後に放散することもある。症状は発症後数日でピークに達する。(欧米の論文では急性甲状腺炎と呼んでいる場合もある)。甲状腺は圧痛を認め、一部が極めて硬く、他の部位はそれに比べて比較的柔らかいことが多い。この硬い部分が経過とともに移動していくことがあり、creeping thyroiditisとも呼ばれる。

検査成績
発熱・有痛性甲状腺腫のある時期にはESR >50 mm/h, CRP上昇、FT3, FT4の高値が例外なくみられる。バセドウ病と比較すると、T4の上昇に比してT3の上昇が軽度である。また、しばしばアミノトランスフェラーゼ(AST, ALT)の上昇を認める。抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体は原則として陰性である。
123I-uptakeは著しい低値となる。
発熱のため、動悸、発汗などの甲状腺中毒症の症状は覆い隠されることが多い。
 
急性期の超音波所見は甲状腺全体が、または一部分が、またはmultipleにhypoechoicとなり、psudocyctic sign (偽嚢胞様所見)と呼ばれる。

治療
急性期にはステロイド(プレドニゾロンで30mg/dayより開始)やNSAIDを投与する。ステロイドは著効するが、アスピリンで十分な例が多い。アスピリンを2-3g/day分3、分4で投与する。ステロイドを使用する場合には副作用に留意しなければならない。(例えば糖尿病の誘発や悪化、消化性潰瘍の誘発、HBVキャリアの場合にはステロイド減量後の肝炎の急性増悪)。その他インドメサシンも有効である。炎症症状の軽快とともに1-1.5か月でeuthyroidになり、続いてhypothyroidismとなり、さらに1-2か月後から回復に向かう。一般に甲状腺ホルモン補充療法は必要ない。6カ月以内に症状としては問題なくなる。

無痛性甲状腺炎Silent thyroiditis:

甲状腺中毒症の5-10%を占める。亜急性甲状腺炎と同様に甲状腺濾胞の一過性の障害により、甲状腺摂取率が著しく低い(24時間値4%以下)点がバセドウ病との鑑別点となる。甲状腺中毒症を呈し、引き続き甲状腺機能低下症、そしてeuthyroidに復していく経過をとる。亜急性甲状腺炎と異なり、急性期にも発熱、赤沈の亢進、その他の全身炎症症状が無く、甲状腺部の明らかな痛みがないことが特徴である。*超音波所見もバセドウ病との鑑別点の一つである。

90%で抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体が陽性である。甲状腺腫が長期間続くこと、本症のエピソードを繰り返すものが多い、リンパ球性慢性甲状腺炎と組織像が類似していることから、リンパ球性慢性甲状腺炎をベースに一過性の自己免疫機序が作動して発症するのではないかと考えられている。

トリガーとして、分娩、手術などのストレス、副腎不全やステロイド離脱などが上げられている。

臨床経過・治療
多くは頻脈、発汗亢進、heat intolerance、体重減少などを訴えて甲状腺中毒症期に来院する。最初上昇していた甲状腺ホルモンは1-2か月で低下し始めeuthyroidとなり、次いでTSH上昇を伴うhypothyroidismとなり、その後次第にeuthyroidに復する。中にはhyperthyroidismの症状が目立たずにhypothyroidismでとらえられるケースもある。

一過性で完全に回復するが、再発がしばしばみられる(75%)。既往にバセドウ病のあるものが本症を発症することもある。

甲状腺中毒症期に症状が著しい場合もβブロッカーの投与のみでよい。抗甲状腺剤の投与をしてはならない。Hypothyroidismの時期に症状が著明な例では甲状腺ホルモン補充療法を行う。

甲状腺腫 Goiter

・単純性甲状腺腫 Simple goiter:全体が柔らかく腫脹。ヨード欠乏、ヨード過剰、青春期や妊娠時のホルモン需要増加、goitrogen(抗甲状腺剤、フェニルブタゾンなど)、先天性ヨード代謝障害。機能亢進や低下の症状を欠く。

・腺腫様甲状腺腫 Adenomatous goiter:多結節性、硬度もさまざま。Cold nodule。多くは手術適応。

・腫瘍性甲状腺腫
  1.良性腫瘍
   1)濾胞腺腫 follicular adenoma:最も多い良性腫瘍。皮膜に包まれ単発。
   2)その他の良性腫瘍
  2.悪性腫瘍
   1)乳頭癌 papillary carcinoma:悪性腫瘍の85%を占める。
   2)濾胞癌 follicular carcinoma
   3)未分化癌 undifferentiated (anaplastic) carcinoma
   4)髄様癌(C細胞癌) medullary carcinoma
   5)悪性リンパ腫 malignant lymphoma
   6)その他の悪性腫瘍
   7)続発性(転移性)腫瘍
  3.その他の腫瘍
  4.分類不能腫瘍
  5.腫瘍様病変

診断手順
●触診
 直径1cm以上の腫瘤は触知する。嚥下運動とともに上下する。一般に良性腫瘍は軟らかく、悪性腫瘍は硬い。
●頚部レントゲン
 気管の偏位、圧迫像、石灰化の有無、をみる。
●超音波検査
●穿刺吸引細胞診:濾胞癌以外は組織型別の診断が可能である。
●TSH, FT3, FT4, 抗マイクロゾーム抗体、抗サイログロブリン抗体
●甲状腺シンチグラフィー
 通常、甲状腺ホルモンの異常値の場合にのみ施行。
●その他:CT scan, ガリウムシンチなど浸潤範囲を調べる場合に施行。



副甲状腺疾患 副甲状腺機能亢進症 hyperparathyroidism

・原発性副甲状腺機能亢進症 Primary hyperparathyroidism:PTH分泌過剰→高カルシウム・低リン血症→易疲労性、ミオパチ−、多飲多尿、膵炎、消化性潰瘍、カルシウム沈着、腎結石、骨痛、骨折

・続発性副甲状腺機能亢進症 Secondary hyperparathyroidism:長期間の低カルシウム血症、vitamin D作用低下によるPTHの分泌亢進。

・偽性副甲状腺機能亢進症Pseudohyperparathyroidism:異所性PTH産生腫瘍による。

副甲状腺疾患 副甲状腺機能低下症 hypoparathyroidism

・特発性副甲状腺機能低下症 Idiopathic hypoparathyroidism:低カルシウム血症による神経・筋被刺激性亢進。テタニー、クボステーク(Chvostek)徴候、トルーソー(Trousseau)徴候、中枢神経異常、自律神経症状その他。

・続発性副甲状腺機能低下症 Secondary hypoparathyroidism:術後の低下症。

・偽性副甲状腺機能低下症 Pseudohypoparathyroidism:PTHの主要標的器官(骨と腎)での反応性が低下した状態。X染色体優性遺伝。知能低下、小人症、円形顔貌、中手・足骨短縮、その他。

・偽性特発性副甲状腺機能低下症 Pseudoidiopathic hypoparathyroidism:pro PTHは分泌されるが、PTHに転換されない。

・偽性偽性副甲状腺機能低下症 Pseudopseudohypoparathyroidism:Ca, P代謝は正常であるが、偽性副甲状腺機能低下症と類似の身体的特徴を示す。

副腎疾患

急性副腎皮質不全
Acute adrenal insufficiency
1)副腎発症 Adrenal crisis:ストレス(外傷、分娩、手術、麻酔など)、薬物、
2)Waterhouse-Friedrichsen syndrome(WF症候群):重症感染症、副腎出血、血栓、
3)ステロイド離脱症候群。強い衰弱感、消化器症状、脱水、血圧低下、高熱、昏睡、ショック。

治療:Hydrocortisoneを投与。


慢性原発性副腎皮質機能低下症(アジソン病)
Primary hypoadrenocorticism (Addison's disease)
1)結核
2)特発性副腎萎縮
3)癌の副腎転移
4)先天性

皮膚の色素沈着、無力症、体重減少、胃腸障害、低血圧とくに起立性、低血糖、脱毛、無月経、ミオパチー:血清Na↓、血清K↑、尿中Na↑、細胞外液↓、plasma renin activity(PRA)↑、空腹時血糖↓、尿中17-KS↓

続発性副腎皮質機能低下症
Secondary hypoadrenocorticism
副腎皮質分泌障害、視床下部-下垂体系疾患の異常、医原性副腎皮質機能低下症(長期ステロイド投与による内因性ACTH抑制)などによる。

クッシング症候群
Cushing's syndrome:

Cushing病(下垂体ACTH産生腫瘍と視床下部性ACTH分泌こう進)によるものと、副腎腫瘍、原発生副腎過形成、異所性ACTH産生腫瘍、医原性Cushing症候群がある。

症状:肥満、striae rubrae、高血圧、浮腫、無月経、多毛、ざそう、皮下出血、骨粗鬆症


アルドステロン症Aldosteronism
コーン症候群(原発性、特発性アルドステロン症)Conn's syndrome:低カリウム血症(筋力低下、四肢麻痺、テタニー、心電図T波減高U波増大、耐糖能異常)、高血圧症、(多飲、多尿)血清K↓、血清Cl↓、一日尿中K排泄量>20mEq、血中尿中アルドステロン↑


続発性アルドステロン症Secondary aldosteronism
副腎皮質以外の病態でレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系が亢進した状態。ネフローゼ、心不全、肝硬変症、腎血管性高血圧、レニン産生腫瘍など。


その他
先天性副腎皮質酵素欠損症 Congenital adrenal cortical enzyme deficiency:コーチゾールの生成障害。

副腎性器症候群 Adrenogenital syndrome:先天性副腎皮質過形成と副腎皮質腫瘍(アンドロゲン産生、エストロゲン産生性)による。

褐色細胞腫 Pheochromocytoma:副腎髄質細胞、交感神経節細胞のクロム親和性細胞から発生。発作性または持続性の高血圧。尿中血中エピネフリン、ノルエピネフリン、尿中vanillylmandelic acid (VMA)の上昇。