肝硬変症:重症度判定

肝硬変症 liver cirrhosis (LC)
形態:1)びまん性の結節形成、2)小葉構造の喪失;門脈域相互、中心静脈との間に線維性隔壁、それらが再生結節を取り囲む。
原因:ウイルス性慢性肝炎からの移行が大半である。
症状(治療):手掌紅斑クモ状血管種、Fetor ex oreを認める。進行すると黄疸腹水が出現する。門脈圧亢進症のため食道静脈瘤(さらに胃静脈瘤)が形成され吐血することがある。静脈瘤に対して内視鏡的硬化療法、内視鏡的結さつ術が行われるが、これにより吐血の頻度が大きく低下した。

肝性脳症に対してはbranched chain amino acids (BCAA)の投与、蛋白摂取制限、ラクツロースの投与により血漿アンモニア値を下げる治療が行われる。 BCAA経口投与も行われる。

検査結果:
●GOT, GPTは軽度上昇、GOT>GPT。
●Hypoalbuminemia, hypergammaglobulinemia。
●ICG (indocyanine green)排泄試験:R15 15〜40%。
●腹部エコー(肝細胞癌の発生が高率なので[50%以上]3、4カ月ごとにフォローアップする必要がある)、CTスキャン。















重症度の指標として広く用いられているのがChildの分類である。外科手術が必要な例ではChildの分類による評価が必要であり、B, Cは手術時の死亡率が高いので、できるだけ待機的手術にし、補正できる異常は改善してから手術に望むようにする。


Child-Turcotteの分類 A B C
ビリルビン(mg/dl) 2.0以下 2.0〜3.0 3.0以上
アルブミン(g/dl) 3.5以上 3.0〜3.5 3.0以下
アルブミン(g/dl) 3.5以上 3.0〜3.5 3.0以下
腹水 なし     治療奏功 治療抵抗
意識 正常   軽度異常   肝性脳症
栄養状態 良好   ほぼ良好   不良
Child-Pughの分類 123
ビリルビン(mg/dl) ≦2.0 2.0〜3.0 >3.0
アルブミン(g/dl) >3.5 2.8〜3.5 <2.8
腹水 なし     軽度 中等度
脳症 なし   1−2度   3−4度
プロトロンビン時間延長 1−3秒  4−6秒   >6秒
スコア5−6:Grade A よく代償されている
スコア7−9:Grade B 機能低下状態
スコア10−15:Grade C 非代償性肝硬変