メタアナリシスとは
1つの研究の解析対象=患者さんや健常ボランティアなど、は母集団の一部=サンプル(標本)、にすぎないため、得られた効果指標は真の値=母集団のパラメータ(平均値などのこと)、の推定値Estimateでしかない。
たとえば、20歳の日本人女性の体重の平均値を知る目的で、10人の20歳日本人女性の体重を測定して、平均値を算出したとする。別の10人を調べた場合、平均値は少しずつ異なるはずである。
高血圧の患者さん20名を2群に分けて、治療薬Aとプラセボをそれぞれ投与して(=介入)、1週間後の血圧(=アウトカム)を測定し、10人ずつの平均値を求めたとする。治療薬Aを投与した群の平均値の方が小さかった場合、有効性があると判断できるかもしれない。
もし、高血圧の別の患者さん40名で同じ様に血圧に対する効果を測定した場合、違う値が得られるはずであり、血圧降下の程度も異なるはずである。それは、サンプリングの偶然によるばらつき、たとえば、血圧の低めの人が偶然多く集まったりするようなこと、によって起き、それは統計学的な法則にしたがって、ある分布に従うものの中の、1つの値にすぎない。さらに、血圧に影響を与えうる、(食塩摂取量など)、他の因子が研究ごとに異なってくることもありうる。これらは共変量Covariateと呼ばれる。
このように、複数の研究が行われた場合、それぞれ異なる効果指標の値が得られる。それらをまとめて、統合値を統計学的な手法で、算出することができる。これをメタアナリシスという。統合値とばらつきの指標である95%信頼区間の値が求められる。
固定効果モデル、ランダム効果モデル、ベイズ統計学を用いる方法などがある。