自己免疫性肝疾患を中心にした病理と臨床の肝疾患研究会

31回川崎リバーカンファレンス

Final Announcement

 

日:平成16年1月24日(土)

時:午後2:00〜7:00

所:NTT東日本関東病院・低層棟4階・カンファランスルーム

 東京都品川区東五反田5-9-22 TEL 03-3448-6111(代表)

主催:シェリング・プラウ株式会社

URL:http://www.kdcnet.ac.jp/hepatologyのMedical Meetings

発表はスライド映写機あるいはPCプロジェクター(Windows対応)です.MOかCDかUSB対応フラッシュディスクに入れてお持ちください.

 

T 黙祷 上野幸久先生 (川崎リバーカンファレンス開祖,平成15年3月6日御逝去)

U 症例検討(公募)PM2時〜6時

病理解説

食品農医薬品安全性評価センター 榎本 眞

国立千葉病院病理        中野雅行

順天堂大学医学部第二病理    松本俊治

日本医科大学第二病院病理    松本光司

 総合司会 NTT東日本関東病院   柴田 実

V 特別講演 東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科 戸田剛太郎教授

 

北は北海道,西は倉敷,香川,南は和歌山まで多数のご応募をありがとうございます.12月26日締め切り時点での症例を紹介いたします.順番はエントリー順です.26日到着分で2症例以上の御施設は症例の順番を分けさせていただきましたのでご了承ください.

 

 

症例144歳男性,自衛官

施設:自衛隊中央病院(中屋照雄先生,箱崎幸也先生)

診断:B型慢性肝炎に自己免疫性肝炎を合併した一例

問題点: B型肝炎増悪(AST 710, HBeAg+, HBV DNA 7.6LGE/ml)で入院,IgG 4400 mg/dl,ANA 16倍,ASMA 160倍よりAIH合併が疑われた.ラミブジンを投与したら,SCし,HBV DNA<3.7となり,さらにIgG 1270と正常化し,ANA陰性となりました.B型肝炎増悪時に免疫異常が認められたのでしょうか?ラミブジンはAIHにも有効なのでしょうか?

病理組織:2/24/03 S-90729 CF(F3-4/A2) suspicious of AIH

病理担当:松本俊治先生

 

症例217歳男性

施設:国立相模原病院消化器内科中村陽子先生)

診断:胸水,腹水を伴う原因不明の肝障害

問題点:検診で胸水を指摘され入院.肝障害(ALP 669, PT 52%),膵外分泌機能異常(PFD 52%),無症候性腹水胸水,特発性拘束型心筋症を認めた.腹腔鏡下肝生検で抗α1アンチトリプシン(AT)免疫染色陽性物質を認めたが,遺伝子解析の結果α1AT欠損症は否定された.本例は何らかの全身疾患と思われますが何でしょうか?治療法は?

病理担当:松本俊治先生

 

症例3KS,37歳男性

施設:手稲渓仁会病院消化器病センター三井慎也,姜 貞憲先生)

診断:ミノサイクリン内服を契機に発症したAIH

問題点:尋常性痤瘡にミノペンが投与され,急性肝障害を発症(ALT 1466).ANA 640倍と高値でAIHが疑われました.ミノサイクリンはSLE様の免疫異常を誘発する薬剤として有名ですが,本例は薬剤によるAIHの発症でしょうか?AIH様の薬剤性肝障害でしょうか?

病理組織:9/17/2003 (03 3738) acute hepatitis mild

病理担当:松本光司先生

 

症例4UR,67歳女性

施設:和歌山県立医大第三内科(田中寛人先生)

診断:原因不明の急性肝障害と画像異常

問題点:急性肝障害(T-B 4.4, AST 657, γ-GTP 873)と腹水で入院.USで肝右葉にSOLが疑われ,造影CTで造影効果を認めるびまん性の門脈周囲低吸収域を認めました.Angio,CTA, CTAPでは門脈周囲高血流を認めました.肝障害の原因および特異な画像所見はどのような病態を考えればいいのか考えてください.

病理組織:スライド持参

担当病理医:全員

 

症例5NT,57歳男性

施設:県西部浜松医療センター(影山富士人先生)

診断: 薬剤起因性AIH?

問題点:感冒薬「新サンヨーソフト」内服2週後に肝障害を発症しました.DLST陽性で薬剤性が疑われるが,IgG高値,ASMA陽性,AIHスコア14点,PSL著効でした.薬剤でしょうか,AIHでしょうか?

病理組織:4/8/2003 (03-02596)

担当病理医:榎本 眞先生

 

症例6YY,73歳女性

施設:県西部浜松医療センター(影山富士人先生)

診断:EBV感染がからむAIH

問題点: 急性肝障害(TB 18.3, AST 1001, ALP 1182)で入院.IgG正常ですが,ANA+,LKM-1抗体陽性(32X)と自己抗体陽性でHLA DR4陽性でした.IgM-EBV-VCA抗体,IgG-EBV-VCA抗体, EBNA抗体の陽性が持続しており,EBV感染あるいは再活性化の関与がありそうです.AIHでいいのでしょうか?EBVマーカーをどのように解釈すればいいのでしょうか?

病理組織:10/7/2003 (0307706) AIH

担当病理医:榎本 眞先生

 

症例7KS,40歳女性

施設:三宿病院(中山 聡,村島直哉先生)

診断:原因不明の斑紋結節肝

問題点:人間ドックのUSで肝の異常を指摘されました.肝機能検査は正常でしたが,IgM 526, AMA -, ANA 160Xであり,腹腔鏡で斑紋結節肝が認められました.本例の診断は?

病理組織:11/14/03 (53641) severe fibrosis

担当病理医:中野雅行先生

 

症例8WA,50歳女性

施設:富士吉田市立病院(金 民日先生,高橋正一朗先生)

診断: AIH疑い

問題点:T-Bil 3.6, AST 1424, IgG 2640, ANA640倍で発症.メチルプレドニゾロン,プレドニゾロン,アザチオプリン併用などで寛解導入成功するも,減量すると再燃し難治性でした.最終的にシクロスポリンが有効でした.サイクロスポリンが必要なAIHとはどんなものなのでしょうか?

病理組織:6/18/2002 (02618 OB370)

担当病理医:松本光司先生

 

症例9KS,65歳男性

施設:倉敷中央病院(新井 修先生,池田 弘先生)

診断: AIHによる劇症肝炎?

問題点:1997年劇症肝炎で入院,免疫抑制療法,血漿交換で救命.2003年8月黄疸を伴う急性肝炎で再入院(T-B 17, ALT 1616),ステロイド治療で改善しました.ANAは,1回目は陰性,2回目は320倍陽性でした.2回の急性肝障害の原因はどちらもAIHでいいのでしょうか?

病理組織:7/7/97 (211317) severe AH, 8/21/03 (283660) AH S/O CH(F1-2/A2)

担当病理医:中野雅行先生

 

症例10SY,40歳

施設:日立総合病院消化器内科(石川晶久先生)

診断:GVFD? NASH?

問題点:ALL(L2)にて姉より同種骨髄移植.移植の3ヵ月後より皮疹,4ヶ月後より肝障害(AST 269, ALT 290, γ-GTP 310, ALP 551)が出現.肝障害の原因はGVHDなのでしょうか?治療はどうするのでしょうか?

病理組織:12/3/03 (036495)

担当病理医:松本光司先生

 

症例11TH,42歳女性

施設:東海大学消化器内科(高清水慎二先生)

診断:抗リン脂質抗体陽性の門脈圧亢進症

問題点:30年前よりRaynaud症候群,20年前よりSLEで膠原病内科通院.ドックで食道静脈瘤指摘され,著明な脾腫も認め,IPHが疑われました.抗リン脂質抗体陽性よりBudd-Chiari症候群も鑑別にあがりました.IPHでいいのでしょうか?松本俊治先生のお得意なSLEに伴う肝障害なのでしょうか?

病理組織:12/1/2003 (314069) hepato-portal sclerosis

担当病理医:松本俊治先生

 

症例1245歳男性

施設:香川県立中央病院内科(高口浩一先生,浅木彰則先生,喜田恵治先生)

診断:糖原病V型(Cori病)に併発した肝腫瘍

問題点:昭和63年肝障害で入院.腹腔鏡下肝生検,酵素測定などで糖原病V型(Cori病)と診断されました.平成13年肝内SOL指摘が指摘され,次第に増大するため精査をしました.肝腫瘤は何でしょうか?

病理組織:4/4/2003

担当病理医:中野雅行先生

 

症例13AS,52歳男性

施設:東京都立墨東病院(鴻池菜保先生)

診断:C型慢性肝炎+AIH type2b急性増悪

問題点:IFN+リバビリン併用療法終了2.5ヶ月後に有症状の肝炎増悪を認め入院.HCV RNA(-)で,AIH的な肝機能異常を認めました.T-Bil 5.3, AST 843, ALT 776, IgG 2945, ANA 1280倍, 抗LKM1(+), 抗DNA(+), 抗ssDNA(+), 抗dsDNA(+).IFN投与中でなく,投与終了後にAIHが発症することがあるのでしょうか?3回肝生検していますが,AIHの関与はどこからでしょうか?

病理組織:5/24/1996 (H961834), 4/15/2003 (H0301943), 12/12/2003 (H0306767)

担当病理医:榎本 眞先生

 

症例14MS,21歳女性

施設:東京逓信病院消化器科(橋本直明先生)

診断:出産後に悪化したAIH?

問題点:1997年初診.AST 447, IgG 3641, ANA 80, ASMA 640よりAIHと診断し,PSL,UDCAを投与し肝機能正常化しました.1999年出産し,その2ヶ月後より掻痒感,肝障害再燃(TB 2.0, AST 1163, ALP 1020, IgG 2303, TC 272).PSL 60mgに増量して肝機能は改善しましたが,ノイローゼになりそうな掻痒感と,高コレステロールが持続しています.抗リン脂質抗体(+)です.AIHは出産後に悪化するのでしょうか?掻痒感,高コレステロールの原因は?

病理組織:5/22/97 (97-1858) CAH

担当病理医:松本光司先生

 

症例15FU,54歳女性

施設:東京厚生年金病院内科(林 さやか先生)

診断:重症PBC

問題点:平成12年紹介受診.食道静脈瘤を認めEISを施行しました.その後,黄疸,腹水が出現し,肝移植を行いました.半年でT-Bil 1.7mg/dlから>20mg/dlとなりましたが,なぜ急速に進行したのでしょうか?

病理組織:移植時の肝組織

担当病理医:榎本 眞先生

 

症例16NM,68歳女性

施設:国立相模原病院(松平 浩先生)

診断:原因不明の門脈圧亢進症

問題点:肝障害,限局性強皮症,脾腫,食道静脈瘤,腹水,肝萎縮を認め,経過中に肝性脳症,心不全を合併して死亡されました.胆道系酵素はほぼ正常,IgG 3455, IgM 202, AMA陰性,M2陰性,ANA 1280 (discrete speckled)でした.門脈圧亢進症の原因,死因は何でしょうか?

病理組織:8/6/03 (AN3358) incomplete septal cirrhosis

担当病理医:松本俊治先生

 

症例17TF,69歳女性

施設:香川県立中央病院内科(浅木彰則先生,高口浩一先生,喜田恵治先生)

診断:肝サルコイドーシス疑い

問題点:C型慢性肝炎の経過中肝SOLを認め受診.CTでS6に造影早期で富血流性腫瘤を認めHCCと診断してTAEを施行.S6以外に造影早期に低吸収域となる多数のSOLが認められ,精査を行いました.生検でサルコイドーシス疑いでしたが,それでいいのでしょうか?

病理組織:12/9/03 肝サルコイドーシス疑い

担当病理医:榎本 眞先生

 

症例18KI,74歳女性

施設:東京都立墨東病院(村山巌一先生)

診断:AIH疑い

問題点:7/2002より気管支喘息にて内服あり.11/2002より肝障害あり,薬剤性肝障害が疑われました.薬剤変更するも肝機能検査値が上下しました(最高でTB 7, AST 1247).IgG 2144と軽度高値ですが,ANA陰性です.AIHでいいのでしょうか?

病理組織:1/5/03 (B030086) CAH, 10/31/03 (H0305901) LC

担当病理医:中野雅行先生 標本提出済み

 

症例19RK,30歳女性

施設:昭和大学医学部第二内科(森川賢一先生),NTT東日本関東病院(柴田 実先生)

診断:UDCA無効,PSL有効のPBC

問題点:発熱,倦怠感,肝障害(TB 1.3, AST 384, ALT 780, ALP 1627)で発症.AMA160倍,ANA40倍.肝生検組織でCNSDC,肉芽腫を認め,PBCと診断.UDCA,ベザトールが投与されましたが,AST 506, ALT 742と異常高値が持続し,PSLが著効を示しました.組織学的には普通のScheuer I期のPBCですが,何故UDCAが効かなかったのでしょうか?

病理組織:12/17/02 (H14-09360) PBC Scheuer I

担当病理医:松本俊治先生

 

症例20MS59歳男性

施設:NTT東日本関東病院消化器内科(磯崎哲男先生)

診断: 肝硬変への進展を観察し得たNASH

問題点: B型急性肝炎で入院.肝炎治癒後のALT高値が遷延するため肝生検したらNASH.体重は年々増加し,BMIは29.21年間に3回肝生検し,肝硬変に進展しました.NASHはどのように肝硬変に進展し,組織学にはアルコール性肝障害とどう異なるのでしょうか?

病理組織:1978, 1991, 1999 (病理番号39759, 95639, 9905454)

担当病理医:中野雅行先生

 

症例21KF54歳女性

施設:NTT東日本関東病院消化器内科(柳川達郎先生)

診断: AIHが疑われたNASH

問題点:職場検診でAST 141 IU/L, ALT 319 IU/Lと高値を指摘.ANA 1280倍よりAIHが疑われ,治療のため当院を紹介.肝生検をしたらAIHでなく,NASHと考えられ,プレドニゾロン療法でなく食事/運動療法を行いました.診断はNASHでいいのでしょうか?

病理組織:8/5/2003 (200305367)

担当病理医:松本光司先生

 

症例22TY41歳女性

施設:高松平和病院内科(蓮井宏樹先生)

診断: PBC S/O

問題点:びまん性甲状腺腫あり.γ-GTPのみ103と上昇,ALP正常,IgG 2151, IgM 288, AMA陰性,ANA陰性,ASMA陽性.ウルソで肝機能正常化.PBCでしょうか,周辺疾患でしょうか? 家族例は父親がバンチ症候群.

病理組織:9/13/2002 (P15943)

担当病理医:スライド持参,全員.

 

症例23AY54歳女性

施設:高松平和病院内科(蓮井宏樹先生)

診断: PBC S/O

問題点:検診で肝胆道系酵素上昇を指摘.IgG 2924, IgM 219, AMA陰性,ANA陰性,ASMA陽性でした.AIH? PBC? AIC? 43歳で甲状腺癌手術の既往がありますが,関連は?

病理組織:6/27/2003 (P17063)

担当病理医:スライド持参,全員.

 

 

 

V 特別講演 

自己免疫性肝炎から癌特異免疫療法へ

東京慈恵会医科大学消化器肝臓内科 戸田剛太郎教授

 

幹事:NTT東日本関東病院消化器内科 柴田 実

東京都品川区東五反田5-9-22

   TEL 03-3448-6111,FAX 03-3448-6136

   E-mail: mshibata@kmc.mhc.east.ntt.co.jp

 

連絡先:東 京;〒150-0013 渋谷区恵比寿 4-1-18 恵比寿ネオナートビル4F

         シェリング・プラウ梶@本島 寿嗣 03-5488-7345

    神奈川;〒226-0000 横浜市緑区中山町 306-5 静銀中山ビル3F

          シェリング・プラウ梶@深井 信宏 045-931-3801


 

会場の御案内:NTT東日本関東病院 (http://www.ntt-east.co.jp/kmc/index.html)

 

JR五反田駅から徒歩約7分,都営地下鉄浅草線五反田駅から徒歩約5分です

 駐車場は地下3階,1時間200円です.

 当日は休診日ですので,正面玄関左の救急入り口から入り4階に上がって,高層棟から橋を渡って低層棟へ移動し4階のカンファランスルームにおこしください.お昼は軽食の用意があります.