自己免疫性肝疾患を中心にした病理と臨床の肝疾患研究会

30回川崎リバーカンファレンス

Final Announcement

 

日:平成15年1月18日(土)

時:午後2:00〜7:00

所:NTT東日本関東病院・低層棟4階・カンファランスルーム TEL 03-3448-6398

  東京都品川区東五反田5-9-22 TEL 03-3448-6111(代表)

主催:シェリング・プラウ株式会社

URL:http://www.kdcnet.ac.jp/hepatologyのMedical Meetings

スライド映写機の他にPCプロジェクターを用意しております.後者はPower Pointで作成し,Windows用のMO,USBメモリー,フロッピーディスク等でお持ちください.

 

今回の試み:難治性の肝疾患に関する研究班で戸田先生が開発中の自己免疫性肝疾患の診断式の検証を試みます.カンファレス中に病理所見を参考に個々の症例のP(AIH),P(PBC)をリアルタイムで計算し,実際と合致するか見てみましょう.P(AIH)はその症例がAIHである確率,P(PBC)はPBCである確率で,最小0,最大1です.

 

 

積み残し症例 (症例2,3は関山先生のご都合で午後5時頃検討の予定です)

 

症例1KT,62歳女性

施設:昭和大学医学部第二内科(松村卓哉先生)

診断:肝障害(HBV, MTX, AIH?)

問題点: HBVキャリア,RAを合併しておりPSL7.5mg/day, MTX服用中.2001年10月,肝障害が出現(T-Bil 16, AST 1430, PT 48%).IgG高値,ANA陽性です.肝生検よりAIHが疑われ,PSL30mgに増量しましたが無効.IFNを投与しました.Bでしょうか?AIHでしょうか?薬剤でしょうか?

病理組織:H13-7906

 

症例2KT,44歳男性

施設:新緑総合病院内科(関山和彦先生)

診断: 急性肝炎(CMV?, AIH?)

問題点: AST 1527, ALT 1688, T-Bil 33.4 (max)の肝障害.ANA 160倍,CMW-IgM陽性!.この年齢でCMVの急性肝炎があるのでしょうか?肝障害の原因と治療法は?

病理組織:S-299

 

症例3TA,59歳女性

施設:新緑総合病院内科(関山和彦先生)

診断: 自己免疫性肝障害

問題点: AST 563, ALT 616,AMA陽性,anti-M2陽性,IgG高値.PBCと診断しUDCA投与したら肝障害が悪化,PSLで改善しました.PBCでいいのでしょうか?AIHでしょうか?

病理組織:S-294

 

新規症例

 

症例4KK,40歳女性

施設:社会保険中央病院内科(三浦英明先生)

診断:IFN投与中の急性肝障害?

問題点:IFN治療を開始したCHC.IFN投与後ALTはすぐに正常化したが,投与開始3ヶ月後に黄疸(TB 8.2mg/dl)を伴う急性肝障害を発症しました.ANA, ASMA陽性,DLST陽性.IFNに対する薬剤性肝障害か,IFN治療でAIHが誘導されたのでしょうか?

病理組織:11/27/2001(R-15195)IFN投与前,10/29/2002(R-21206)急性肝障害出現時

 

症例5TS,51歳男性

施設:香川県立中央病院(高口浩一先生)

診断:慢性肝炎(NBNC) or NASH ? or AIH ?

問題点:ALT 295, γ-GTP 138, ASMA+の肝障害.原因は何でしょうか? PSLやSNMCが試みられていますが,治療はどうすればいいのでしょうか?

病理組織:9/6/2002

 

症例6KY,57歳女性

施設:三宿病院消化器内科(村島直哉先生)

診断:病因不明の肝硬変

問題点:1976年肝脾腫で初診(31歳),ICGR 32%,肝生検で肝硬変(?).1997年多発肝発癌.TAEを11回繰り返し,2002年死亡され剖検を実施.肝炎ウイルスマーカー陰性,ANA弱陽性ですが,その病因は?26年経過した病理所見はどうなっているのでしょうか?

病理組織:5/1976(M-10537),5/30/2002(A3107)

 

症例7SM,61歳女性

施設:青森県立中央病院消化器内科(沼尾 宏先生

診断:重症AIH疑い

問題点:T-Bil 6.5mg/dl, AST 230, PT 38%で紹介入院.1週後PT 26%まで低下したためステロイドパルスを実施しました.組織所見でAIHと診断できるでしょうか?

病理組織:11/20/2002 (H024699), 12/11/2002 (H025038)

 

症例8OY,73歳女性

施設:東大病院消化器内科(花尻和幸先生

診断:AIH

問題点:1985年より慢性甲状腺炎あり,本年7月より軽度のトランスアミナーゼ上昇あり,9月にT-Bil 2.8, AST 686と急性増悪しました.抗セントロメア抗体単独陽性のAIHの臨床的特徴は?

病理組織:10/1/2002 (H02-09118)

 

症例9NK,44歳女性

施設:昭和大学医学部第二内科(山本泰漢先生)

診断:原因不明の急性肝炎

問題点:平成14年9月台湾へ旅行.同年11月急性肝障害を発症しました.AST 570, ALT 1226.ウイルスマーカー陰性,自己抗体陰性.病因は何でしょうか?

病理組織:12/9/2002 (H14-9124)

 

症例10MH,52歳女性 (456119)

施設:NTT東日本関東病院消化器内科(土岐真朗先生)

診断:急性発症型AIH?C型急性肝炎?

問題点:T-Bil 7.1mg/dl, AST 1870, ALT 1563で入院.IgMHA抗体陰性,HBs抗原陰性,HCV抗体陰性,肝組織所見もAIHに矛盾しませんでした.第二病週になってもトランスアミナーゼが低下しないため,プレドニゾロンを投与したら著効を得ました.その後HCVRNA+と判明しプレドニゾロン減量したらALTが再上昇しました.組織所見でAIHとウイルスの鑑別は可能でしょうか?

病理組織:11/22/2002 (h200207319)

 

症例11TS,22歳男性 (5329205)

施設:NTT東日本関東病院消化器内科(渡邉利泰先生)

診断:非A非B非C型急性肝炎or AIH or 薬剤性肝障害

問題点:急性肝障害で入院,T-Bil 4.9mg/dl, AST 1040, ALT 1574.肝炎ウイルスマーカー陰性.アトピー性皮膚炎でミノマイシン内服中.AIHと診断してプレドニゾロンを投与しました.平成9年度のAIH全国調査によれば,20代男性はAIH全体の0.2%とまれです.本例は一見すると健康な今時の22歳の若者ですが,本当にまれな若年男性AIHなのでしょうか?

病理組織:11/15/2002 (h200207174)

 

症例12MT,55歳男性 (5310874)   

施設:NTT東日本関東病院消化器内科(土岐真朗先生)

診断:薬剤性肝障害,ヘモクロマトーシス,アルコール性肝障害?

問題点:3年前よりマルチビタミン内服.1/2002から欝病で内服(トフラニール,エリスパン,ユーロジン).10月他院で閉塞性黄疸が疑われsecond opinionを求め登院に転院.T-Bil 2.3mg/dl, AST 123, ALT 192.γ-GTP 597, ALP 517. MRIで肝実質が低信号でヘモクロマトーシスが疑われ生検をしました.ferritin>6000です.肝障害の原因は何でしょうか?

病理組織:10/15/2002 (h200206354)

 

症例13KS,79歳男性 (3081248)

施設:NTT東日本関東病院消化器内科(藤島知則大先生

診断:cryptogenic cirrhosis ? NRH(結節性再生性過形成)?

問題点:1989年より真性多血症で瀉血.10/2002にDUの診断のため内視鏡を試行したら食道静脈瘤を発見.画像で,肝不整,脾腫,腹水など肝硬変の所見を認めた.肝炎ウイルス,アルコール,自己免疫は否定的,本当に肝硬変か?門脈圧亢進症の病因は説明できるのか?

病理組織:10/18/2002 (h200206521)

 

症例14HT,58歳男性 (767008)    

施設:NTT東日本関東病院消化器内科(磯崎哲男先生

診断:閉塞性黄疸合併HCC

問題点:LCC,HCCの患者さん.S4のHCCから左肝管に腫瘍塞栓が浸潤し左肝内胆管の拡張を伴っています.TAEをしましたが効果不十分.HCC CCC mixedの可能性も考えて複数箇所から腫瘍生検をしました.胆管に浸潤する癌の病理学的特徴はあるのでしょうか? 治療は重量子線治療を選択しました.手術不能の胆管閉塞型HCCに対する世界初の重量子線治療の効果はどうでしょうか?

病理組織:12/10/2002 (h200207717)

 

症例15YK,57歳男性 (4035334)   

施設:NTT東日本関東病院消化器内科(磯崎哲男先生

診断:肝癌類似病変

問題点:進行したLCC.1年前に肝S7に10mmの腫瘤が疑われ,血管撮影,CTA, CTAPを行いましたがnegativeでした.1年後にどう部位に5cmの腫瘤が出現しました.造影効果が弱いことから低分化型HCCあるいは胆管細胞癌を疑って生検しましたが,癌ではありませんでした.何なのでしょうか?

病理組織:10/18/2002 (h200206520), 10/25/2002 (h200206689)

 

症例16YT,65歳男性      

施設:東京逓信病院消化器内科(橋本直明先生)

診断:AIH ? NASH ? CH-NBNC ?

問題点:2000年より軽度肝障害(Alb 4.2, AST 83, ALT 154, γ-GTP 91, ALP 223, IgG 2129, ANA 40-80X) .中高年男性AIHなのでしょうか.エコーで軽度脂肪肝あり、NASHでしょうか.ICG 2.4%なのに血小板低値(8万)なのはなぜでしょうか?

病理組織:10/9/2002(2024663)

 

症例17TS,42歳女性      

施設:東邦大学大森病院第二内科(篠原美絵先生)

診断:サイトメガロウイルスによる急性肝炎? AIH?, PBC?

問題点:T-Bil 4.5, AST 1900, ALT 2466で発症.無治療で肝機能検査正常化,IgM CMV抗体陽性でした.発症から3ヶ月後にT-Bil 3.9, AST 692, ALT 953と再度肝障害が出現しました.ANA -, AMA 40, M2抗体 109です.これらの肝障害は何でしょう.

病理組織:11/22/2001 (13-1989)

 

 

 

 

 

症例18KT,51歳女性      

施設:東邦大学大森病院第二内科(藤田泰子先生)

診断:AIH ?

問題点:T-Bil 7.1, AST 881, ALT 713で急性発症.無治療で黄疸は消失しましたが,慢性肝炎に以降(トランスアミナーゼ 100-200).急性発症したAIHを治療しないと肝不全になるのでしょうか,改善するのでしょうか?

病理組織:6/20/2002

 

症例19AY,60歳男性      

施設:手稲渓仁会病院(札幌)(大西幸代先生)

診断:HBVキャリアの劇症肝炎.

問題点:6/4/2002にT-Bil 5.0, AST 10330, ALT 6550.PT 11%,脳症2度のため人工肝補助療法とCsA療法を行い,軽快.劇症肝炎の原因はHBVでいいのでしょうか?AIHの合併があるでしょうか?

病理組織:6/24/2002 (H02 2742), 12/9/2002 (H02 5267)

 

--------------------------------------------------------------------------

 

多数の皆様のご参加をお待ちしております.

諸般の事情で研究会終了後の懇親会は行いませんのでご了承ください.

 

幹事:NTT東日本関東病院消化器内科 柴田 実

東京都品川区東五反田5-9-22

   TEL 03-3448-6547 (医局直通),03-5792-4060 内線 7731(PHS)

   E-mail: sibatami@ja2.so-net.ne.jp or mshibata@kmc.mhc.east.ntt.co.jp

 

連絡先:東 京;〒150-0013 渋谷区恵比寿 4-1-18 恵比寿ネオナートビル4F

         シェリング・プラウ梶@後藤田剛史 03-5488-7341

    神奈川;〒226-0000 横浜市緑区中山町 306-5 静銀日生中山ビル3F

          シェリング・プラウ梶@三宅祐一 045-931-3801

NTT東日本 関東病院地図

 

会場の御案内:NTT東日本関東病院 (http://www.ntt-east.co.jp/kmc/index.html)

JR五反田駅から徒歩約7分,都営地下鉄浅草線五反田駅から徒歩約5分です

 駐車場は地下3階,4階にあり,1時間200円です.

 当日は休診日ですので,正面玄関左の救急入り口から入り,高層棟4階に上がり,ピンクとグリーン色の橋を渡って低層棟4階のカンファランスルームにおこしください.軽食の用意があります.喫煙場所は低層棟3階医局端のリフレッシュルームか外だけです.