第20回川崎リバーカンファレンス報告
(1997.9.27[土曜日]開催)
臨床医のための自己免疫性肝疾患を中心にした肝臓勉強会
第20回川崎リバーカンファレンス・番外編
Special Announcement
日:平成9年9月27日(土)
時:午後2:00〜8:00
所:帝京大学溝口病院・二子研究棟7F講義室
主催:シェリング・プラウ株式会社
今回も大盛況の内に終わりました。ディスカッションが白熱し、宿題報告も含めて以下の6症例しか消化できませんでした。臨床側からは上野先生、戸田先生、与芝先生、住野先生、西田先生、箱崎先生が発言、そして石橋先生は全症例で司会の柴田先生から意見を求められ、病理側からは榎本先生、内田先生、中野先生、松本先生、松本先生が発言し、白熱のディスカッションの内にあっという間に時間が過ぎてしましました。司会の柴田先生、各演者の先生方ご苦労様でした。
特別講演は九州大学第1内科の石橋大海先生から、PBCにおけるPDC-E2に対するCD4+ T細胞の認識する抗原エピトープの解析と、反応しているT細胞クローンのTCR(T cell receptor)の構造に関してお話しをうかがいました。現在の免疫学的解析の最先端のお仕事です。
内田先生が文光堂より出版された「肝臓病ことはじめ」という本が参加者にプレゼントされました。すべての肝臓病について明快に書かれています。留学の話や、どのように勉強をしてきたか、などの挿話も含まれていて、自分と同じだと思った人もいるのではないでしょうか。
今回初の試みとして、発表スライドをスキャンしてホームページ上に載せて、今回来られなかった先生方にもその内容が分かるようにしようと、ノートパソコンとスキャナーを持ち込んで現場でやってみました。スキャナーにはかなり限界があり、目で見たままに再現するのはなかなか難しいと感じましたが、今後このような”Virtual Conference”も先生方の勉強に役立つと思いますので、ファイルが出来次第ここに掲載します。(森實 記)
宿題報告
- 症例 KT、38歳男性、東邦大学2内(西尾泰信先生) 前回、正常肝に認められた肝細胞癌らしい狙撃生検組織が呈示されました。手術の結 果、本当に肝細胞癌で非腫瘍部は正常肝なのか報告していただきたいと思います。超 ご多忙の住野先生よろしくお願いいたします。
症例検討
- 症例 1:YH、32歳女性、川崎中央病院内科(佐久間 淳先生) 診断:若年女性の原因不明の肝硬変 問題点:肝障害と腹水で紹介され初診、肝組織所見は肝硬変でした。肝炎ウイルス マーカー陰性でANA陰性、AMA陰性です。Wilsonでない若年肝硬変に何があるのか教え て下さい。2回肝生検し2回とも肝硬変です。
- 症例 3:○松○美さん、51歳女性。社会保険川崎中央病院(佐久間先生) 診断:多発性筋炎に合併した急性肝障害 問題点:両大腿部痛、CK 7046で入院。筋生検その他で多発性筋炎と診断。GOT 344 ,GPT 328, ALP 1829と肝障害を合併しました。HBsAg -, HCVAb -, ANA -, AMA -です 。肝障害の原因は何でしょうか?
- 症例 5:MI、20歳男性、昭和大学第二内科(馬場俊之先生) 診断:Idiopathic adulthood biliary ductopenia 問題点:高度の黄疸を伴う原因不明の肝障害。知能障害、発育障害、および心臓弁 膜症の合併が認められ、我々はAlagille syndromeと考えました。ところが池田先生 と銭谷先生にその診断には無理があると笑われてしまいました。では何でしょうか?
- 症例 6:KI、39歳男性、昭和大学藤ケ丘病院(えび沢先生) 診断:急性発症後肝機能が遷延するAIH? 問題点:肺結核に対してリファンピシン投与中に肝障害が出現。服薬を中止しても肝障害が持続しAIHが疑われました。GPT 2080, IgG 1130, ANA陰性ですがAIHなのでしょうか?
- 症例 8:40歳女性、北里大学東病院(渡辺先生/高田先生) 診断:肝機能正常者に認められた肝腫瘍 問題点:A-V shuntを伴い、画像および腹腔鏡所見が特異的な多発性肝腫瘍です。何という腫瘍でしょうか?病理所見を見る前に、当てて下さい。
特別講演: 講師:九州大学医学部第一内科助教授 石橋大海 先生
講演題名:ミトコンドリア抗体のエピトープ解析
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