第23回川崎リバーカンファレンス
(1998.12.19[土曜日]13:00から18:00)
臨床医のための自己免疫性肝疾患を中心にした肝臓勉強会
  
Final Announcement

日:平成10年12月19日(土)
時:午後1:00-6:00
所:帝京大学溝口病院・二子研究棟7F講義室  ・044-844-3333
主催:シェリング・プラウ株式会社
Home page:http://www.kdcnet.ac.jp/hepatologyのMedical Meetings

今回は午後1時からですので,お間違えなく! 特別講演はございませんが,ベルギ
ービールがあります.20症例,たっぷりとお楽しみ下さい. 学会では「専門家がAI
Hと診断したらAIHである」と提唱されていますが,そうは簡単にはいかないのがAIH
なのではないでせうか?(例:症例1, 2, 4, 7, 8, 10, 11, 13, 14, 15, 17)

症例検討
1宿題報告:KS,25歳女性,都立墨東病院(忠願寺義通先生)  
 診断:EBV肝炎とAIHが疑われた例
 問題点:4年間にわたりEBVVCA-IgG抗体が10240倍と高抗体価を持続.
IgG>4000mg/dl, ANA+, HLADR4+, 肝生検所見よりAIHと診断しPSLとAZTを投与.
挙児希望のためAZTを中止し,PSLを減量したら,肝炎が再燃しPSL60mgに増量しまし
た.肝障害のコントロールが難しいため前回のカンファレンスで検討され,戸田先生
はPSLを減量し中止するよう指示されました!.忠願寺先生がそのご指示を忠実に実
行したら,さてどうなったでしょうか? 宿題報告していただきます.病理組織:H9
6-1202, H97-3807

2追加症例:SK,68歳女性,昭和大学2内(柴田 実先生)
 診断:EBV肝炎とAIHが疑われ,PSLを中断した1例
 問題点:発熱,多型滲出性紅斑,急性肝障害 (GPT 468)で入院.EBVVCA-IgGAb+, I
gM-, EBNAAb-, ANA+でした.内田先生に生検肝組織をみていただいたら,AIHが第一
に疑われ,病理学者生命を賭けてもEBV肝炎の所見はないと断言されました.PSLを投
与したら肝機能が悪化したため,PSLを中断しました.さてどうなったでしょう? 
症例1と合わせてご検討して下さい.病理組織:P96-1829(積み残し)

3症例:YT,54歳女性,神奈川歯科大学内科(常松 令先生)
 診断:肝発癌を認めたAIH
 問題点:HBsAg-,HCVAb-.1979年に肝生検を実施,AIHと診断しPSLと6MPによる免
疫抑制療法を開始.肝硬変に進展はしていせんが,1996年10月に肝発癌を認め,肝切
除を行いました.AIHからの肝発癌でも,肝細胞癌の背景に不規則再生が認められる
かご検討下さい.病理組織:8845,  51012(積み残し)

4症例:HS,41歳男性,東邦大学第2内科(森 孝之先生,住野泰清先生) 
 診断:IFN治療を行ったTTV陽性の非A非B非C型肝炎
 問題点:肝炎ウイルスマーカー陰性,自己抗体陰性,TTVDNA陽性の肝炎です.TTV
による肝障害と考え,なんとIFN療法が行われました! IFN治療によって肝機能が正
常化し,TTVDNAが持続陰性となりました.これで納まればよかったのですが,IFN治
療終了後に奇妙なできごとが,次々と発生しました.どんな奇妙なことかは,川崎リ
バーカンファレンスに来てごらん下さい.病理組織:98-6368(新規)

5症例:YE,28歳女性,慈恵医大(奥田丈二先生)
 診断:Idiopathic adulthood bileductpenia疑い
 問題点:6年前より肝機能異常が出現,肝胆道系酵素の上昇を認めます.T-Bil 0.
4, GPT 44, ALP 1722, IgG 1370, IgM 109, ANA 40, AMA -, ASMA 40.上記診断でい
いのでしょうか? 自己免疫で有名な慈恵医大から初のエントリーです,どれだけす
ごいか楽しみですね! 病理組織:98'10/5肝生検

6症例:48歳男性,自衛隊中央病院(岩本淳一先生,箱崎幸也先生) 
 診断:アルコール性肝硬変+PBCに合併した肝細胞癌
 問題点:AMA 320×,血小板7万,GPT 40,γ-GTP 460,ALP 285,IgG 1450,IgM
103,IgA 405.腹部超音波検査でSOL指摘され,肝切除にてHCCと診断.ALP値と免疫
グロブリン値はPBCに合致せず,病因はアルコールでしょうか?PBCでしょうか?.非
癌部肝組織の小結節ですが,一部に10mmのLarge regenerative nonule (LRN) が認め
られました.アルコールでLRNは発生するのでしょうか? 病理組織:箱崎先生持参
(新規)

7症例:KO,62歳女性,社会保険中央病院(山田春木先生) 
 診断:急性発症した重症型AIH?
 問題点:T-Bil 17, GPT 515, PT 44%, IgG 1932, ANA 40×.免疫グロブリンやANA
がこの程度ですが,本例の高度な肝障害は自己免疫異常が病因としていいのでしょう
か?
病理組織:(新規)

8症例:HO,歳男性,昭和大学2内(馬場俊之先生)
 診断:原因不明の肝障害 
 問題点:RAの患者で,GPT>300の肝障害が出現.原因不明のため,肝生検を実施し
ました.肝機能異常の病因を検討して下さい.病理組織:H10-6463(新規)

9症例:YH,66歳女性,川崎中央病院(小野塚 靖先生) 
 診断:PBC?PBCの境界病変?膠原病?
 問題点:1990年より経過観察中.皮膚掻痒感,Sicca症状,Raynaud現象を認めます
.軽度の肝胆道系酵素,血清IgM値の異常を認めましたが,徐々に改善しています.A
MA -, ANA -です.PBCと診断していいのでしょうか?病理組織:90-0678,  92-0498
(新規)
 

10症例:TT,62歳男性,昭和大学藤が丘病院(満淵先生) 
 診断:AIH急性発症型? 非A非B非C型急性肝炎?
 問題点:全身倦怠感と急性肝障害(GOT 292, GPT 439)で入院.IgG 1270,ANA陰
性です.2峰性の肝機能異状が認められ,PSLが著効しました.AIHでしょうか?
病理組織:H98-6899(新規)

11症例:TS,69歳女性,昭和大学藤が丘病院(関山和彦先生) 
 診断:発症直前を観察したAIH?
 問題点:平成10年6月検診でGOT 58, GPT 18,近医で観察したところ肝機能増悪し9
月にGOT 248, GPT 264となり入院.ANA陰性,IgG 1420,PSLが著効.PSL投与後にANA
が20倍に陽性化しましたがAIHでしょうか?病理組織:H98-7120(新規)

12症例:46歳男性,東京逓信病院(橋本直明先生) 
 診断:Diffuse regenerative nodular hyperplasia
 問題点:人間ドックの超音波検査で肝表面凹凸,実質不整より肝硬変と診断されま
した.肝機能は正常です.肝生検を実施したところ,RNHが疑われました.背景には
膠原病などの合併はありません.NRHでいいのでしょうか,発生病理は?病理組織:9
8-1420(新規)

13症例:ST,72歳男性,済生会南部病院(保坂洋夫先生) 
 診断:長期間軽度の肝機能異常を持続するAIH
 問題点:94年よりANAは40→160→640と漸増したが,GOT 20?30,GPT 40?60と軽
度異常を持続.IgG>2000.確定診断のため肝生検を実施しました.AIHでしょうか?
病理組織:983719(新規)

14症例:LK,24歳女性,関東労災病院(近藤正晃先生) 
 診断:AIH? サイトメガロウイルス肝炎?
 問題点:急性肝障害でH10年9月に入院.IgM型CMVAb陽性かつANA陽性でした.肝機
能は改善したが,微熱,IgM型CMVAb陽性が持続しています.診断と治療指針は?
病理組織:P98-3497(新規)

15症例:HI,72歳男性,富士吉田市立病院(伊藤紘朗先生,高橋正一郎先生) 
 診断:肝機能正常なAIH?
 問題点:IgG 4500, ANA 640?5120×, anti-DNA +, anti-ENA +, GPT 14, ALP
182.
3年半経過観察しているがトランスアミナーゼは正常,肝生検では慢性活動性肝炎で
あった.病態の判断は?AIHと診断していいのか?予後は?治療は? 病理組織:1134
290(新規)

16症例:62歳男性,東京逓信病院(橋本直明先生) 
 診断:薬剤性肝障害 or NASH
 問題点:肥満を有する肝胆動系酵素異常,96/10/6の当カンファレンスでNASHと診
断.宮川先生のimmunoblotでもM2Ab陰性.74Kgから65Kgに減量,禁酒,Caブロッカー
変更し,肝機能は改善し,再度肝生検を実施しました.どのような変化があるでしょ
うか?
病理組織:96-0543, 98-1423(新規)

17症例:KW,68歳女性,昭和大学2内(柴田 実先生) 
 診断:PBC, AIH mixed?
 問題点:AMA640倍と高値で血液検査もPBCに合致しました.肝生検ではPBCにしては
強すぎる実質の壊死・炎症反応,形質細胞浸潤を認め,PBCで認められることがない
小葉中心部の脱落と細胞浸潤も観察され,病理学的にAIHが疑われました.HLADR4+で
す.UDCA投与したらトランスアミナーゼ>400とむしろ悪化しました.なぜでしょう
か?
病理組織:H10-5853(新規)

18症例:FK,57歳女性,昭和大学2内(馬場俊之先生) 
 診断:AIH重症型 
 問題点:平成10年1月,T-Bil 23, GOT 740, GPT 773, ANA 160×と急性発症.劇症
化が危惧されましたが,免疫抑制療法で改善しました.平成10年5月,PSL減量中にGP
T 225と増悪しました.AIHの再燃でしょうか,その病因を評価するために再び肝生検
を実施しましたが‥‥.病理組織:H10-465, H10-2997(新規)

19症例:HS,46歳女性,昭和大学2内(柴田 実先生) 
 診断:AIH重症型の1年後の肝組織像
 問題点:平成9年5月,黄疸,全身倦怠感にて入院.T-Bil 23, GOT 1184, GPT 740,
ANA+, IgG 4110, PT 41%, HPT 27%.肝生検組織にはzonal necrosis, bile ductual
cholestasisが認められ,内田先生に見せたら死亡されたでせうと言われました.T-B
il 44mg/dlと高値になるが,3カ月におよぶ悪戦苦闘でかろうじて救命されました.
平成10年8月に経過観察の肝生検を実施しました.どこまで改善しているでしょうか

病理組織:H9-4361(Laparo下),H10-5780(新規)

20症例:KK,48歳男性,昭和大学2内(柴田 実先生)
 診断:Weil病 
 問題点:マグロ屋さん.39℃の発熱,全身倦怠感,食欲不振で入院.WBC 15
300,Plt 4.3万,T-Bil 10.9,GOT113,GPT146,BUN76.1,Cr3.8.ワイル病レプトス
ピラ抗体陽性でした.超音波検査ではワイル病に特徴的な脾腫大を伴わない肝腫大と
逆肝腎コントラストが認められました(一見の価値あり!).どのような肝組織所見
が得られたでしょうか?
病理組織:H10-6464(新規)
 

 お知らせ
お預かりした組織標本はカンファレンス当日にスライド受け付けで返却いたします.
検討症例はインターネット上のホームペイジに会の記録として公開されますので,提
示スライドと病理スライドを数日お貸し願うことになります.ホームペイジへの掲載
を御希望しない場合はスライド受け付けか幹事にお申し出下さい.

皆様お誘いあわせのうえ多数ご来場くださいますようお願いいたします。
 
 

幹 事:柴田 実
    ・142-8666 東京都品川区旗の台1-5-8 昭和大学第2内科 
    TEL 03-3784-8535 (医局直通)
    FAX 03-3784-7553 (医局直通)
    E-mail: sibatami@ja2.so-net.or.jp    
    http://www.kdcnet.ac.jp/hepatologyのMedical Meetings
   

連絡先:東京;〒102 千代田区 1-10-2 一番町Mビル
         シェリング・プラウ  佐藤 浩 Tel 03-3263-3421
    神奈川;〒226 横浜市緑区中山町 306-5 静銀日生中山ビル3F
          シェリング・プラウ 三宅祐一 Tel 045-931-3801


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