複数の検査の場合

複数の検査の結果から、事後確率を求める場合には、それぞれの症状や検査が独立していれば、上記の計算を連続して行うことが可能である。

特にオッズと尤度比を用いる場合には、連続して掛け算を行えばよい:

検査後オッズ = 検査前オッズ×検査1の尤度比×検査2の尤度比×検査3の尤度比・・・


ベイズの定理を用いる場合には、最初の計算で得られた事後確率を事前確率として次の計算を行い、これを繰り返す。

しかしながら、症状や検査が独立しているかどうかを決めるのは難しい。一般に、独立性を無視して計算を行うと、事後確率が過大になる。

これを克服するには、複数の症状や検査をまとめて1つの所見とみなし、その陽性率を用いることが一つの方法である。

今後、多変量解析、特に多重ロジスティック回帰分析、を用いて、ある疾患とそれ以外を鑑別するのに意味のある独立した因子を探し、それらを組み合わせてコード化して、その陽性率を明らかにして、それらを用いてベイズの定理に基づいた診断システムを構築することが可能と考えられる。

また、一定の診断の局面では、多変量解析に基づいた、確率式を用いて疾患確率を算出することも可能である。