医療過誤の実態

1984年における、ニューヨーク州51の救急医療病院、30121の医療記録のレビューにより、退院時に入院を延長せざるを得なかった、あるいは、永続的な障害を残した、医療による傷害は3.7%で認められ[1]、その69%が医療過誤によって引き起こされていた[2]。

1995年のオーストラリアの調査[3]によると、28病院14179の入院の内、有害事象が16.6%、永続的な障害が13.7%、死亡が4.9%起き、有害事象の49%が予防可能と考えられた。

医療記録のレビューと医師の自己申告に基づく調査で、ボストンの2つの教育病院で、投薬による有害事象が入院患者の6.5%で投薬による有害事象が疑われる事例が5.5%認められた。薬剤による有害事象の28%は過誤によるものであり、重篤な投薬過誤7.3%と推定された[4]。

米国では年間44000から98000の不必要な死亡と、1000000超の傷害が医療過誤によって引き起こされている[5]。

米国における外来患者の投薬に関連した死亡、発病の推定を行った報告[6]では、薬剤投与が関連した問題が原因で、年間1億1千6百万件の通院、7千6百万件の追加の処方、1千7百万件の救急外来の受診、8百万件の入院、3百万件の長期入院、199000件の死亡が起きているとされる。その医療費は計766億ドルに達し、糖尿病に向けられている医療に匹敵する。

文献1,3によると、入院患者の有害事象の約半分は外科手術に関連して起きている。外科手術以外では、薬剤の副作用、投薬ミス、診断ミスが多い。間違った診断をする、間違った薬剤を選択する、といった認知の間違いは予防しうるものであるが、また技術的な過誤に比べると永続的な傷害を残す可能性が高い[7]。

日本では

(財)日本医療機能評価機構が医療過誤の事例を収集しデータベース化している。

2000年4月から2002年2月までの20ヶ月の間に、全国82の特定機能病院で計15003件の医療事故が発生した。(特定機能病院は全国9232病院の1%にも満たない)。なお、日本の病院で死亡する患者数は年間約70万人。