3つの輪のモデル

医療はあるいは臨床医学はここに述べる3つのループによって活動が行われ,モデルの選択,モデルの改良が行われる。すなわち,臨床医学の進歩にはこれら3つのループが回転することが必要である[1]。

ループ1

ある特定の仕事を達成するための知識の応用であり,モデルに含まれている知識を用い,いくつかの測定に基づいて,モデルによって定められた行動を起こすことである。Model-measure-manageのサイクルである。たとえば糖尿病の管理などは,血糖の測定,その値によりモデルに含まれているレジュメにしたがってインスリン量を決めて,投与する。

ループ2
多くの場合,ある特定の仕事を成し遂げるのに,いくつかの異なる方法がある。モデルがいくつも作成可能であり、モデルを実行に移すいくつかの異なる方法がある場合もある。ループ2ではどのモデルと測定が適切であるかを決めるための過程である。糖尿病の管理の場合,インスリンにもいろいろ種類があり,投与法もいろいろあり、モニターの仕方にもいろいろな方法がある。どれがその患者に一番適しているかを決める過程がループ2である。

ループ3
ある特定の仕事を成し遂げるのに用いられる知識そのものを,そのoutcomeアウトカム(転帰)を検討しながら,検定するループである。臨床試験などがこれに相当する。

図3 医療は3つのループによって活動,改良が行われ,進歩する。患者のデータはデータベースに蓄えられ,必要に応じて参照される。いくつかの異なるモデルが作成され,それらはモデルライブラリーとして蓄えられ,必要に応じて参照され,最適と思われるモデルがライブラリーから選択され使用されるが,個々の患者に合わせてカスタム化も行われる。