職業的責任

1. 職業的能力に対する義務
−質の高い医療の提供のため、一生、医学知識、臨床技術、チーム技術を維持する必要がある。それは医療界全体として必要である。

2. 患者に対して正直であることの義務
−治療前後に完全で正直な情報の提供のうえで同意を得る。もし、患者が傷害を受けたら、直ちに知らされるべきである。

3. 患者の秘密性に対する義務
−患者情報の開示に対しては秘密保護手段が適用される。

4. 患者と適切な関係を保つことに対する義務
−弱い立場にある患者と不適切な関係を持ってはならない。

5. 医療の質を高めることに対する義務
−医療過誤を防ぎ、患者の安全性を高め、医療資源の浪費を最小にし、ケアのアウトカムを最適にするため、臨床的能力を維持するだけでなく、他の医療従事者と協調的に働くことが必要である。

6. 医療への到達を改善することに対する義務
−個人的にも全体としても、すべての人が同一の適切な医療を受けられるように努力しなければならない。教育、法律、経済、地理的条件、社会的差別による障壁を取り除く。

7. 有限な資源の公正な配布に対する義務
−有限な医療資源を賢く費用対効果にすぐれた方法で用いる。他の医師、病院、保険者と協力して、費用対効果のすぐれた医療についての指針(ガイドライン)を作ること。不必要な検査や治療をしないこと。

8. 科学知識に対する義務
−医学の社会との契約の大部分は科学的知識と技術の完全性と適切な使用に基づいている。医師は科学的水準を向上させ、研究を促進し、新しい知識を生み出し、その適切な使用を確実にする義務がある。医業は科学的根拠(エビデンス)と医師の経験に基づくこの知識の完全性に対して責任がある。

9. 利害の対立を管理することによる信頼の保持に対する義務
−医療人とその所属機構は個人の利益や金銭を追求することによって、その職業上の責任を危うくする多くの機会に遭遇する。企業との関係において利害の対立に対処しなければならない。特に、企業とオピニオンリーダーの関係は開示すべきである。

10. 専門的職業人としての責任に対する義務
−医療従事者として、医師は患者のケアを最大化するために、協調して働き、互いに尊重しあい、自己規制の過程に参加することが期待される。現在および将来の構成員に対して教育と水準を設定する過程を取り決め、組織すべきである。医師は、個人として、そして全体としてこれらの過程に参加する義務を負う。これらの義務には、その職業的能力のすべての面についての、内部的査定に参加し、外部からの精査を受け入れることを含む。