臓器移植の歴史

1902年:オーストリアの外科医Ulmannがイヌの腎臓を摘出し、同じイヌの首に移植する実験を行った
1905年:フランス人(後に米国へ)のCarrelはイヌ、ネコで腎移植:一時正常に機能するがやがて何らかの生物学的因子で機能しなくなる→拒絶反応
1906年:フランス人Jaboulayはヒツジ、ブタからヒトへの異種間腎移植を試みる
1910年:京都大学の山内半作、第11回外科学会で臓器移植実験を報告

1936年:ウクライナのVoronoyは急性腎不全患者を救うため死者から摘出した腎臓を患者の大腿部に移植したが、36時間後に死亡
1940年代:イギリス(後に米国)Medawarによる移植免疫拒絶反応の解明
1954年:米国MerrillとMurray、一卵性双生児間の腎臓移植に成功 

1956年:新潟大学の楠隆光、井上彦八郎による腎臓移植の臨床
1961年:英国CalneがアザチオプリンAzathioprineが実用的な免疫抑制剤であることをイヌの腎移植で証明
1963年:米国Murrayによってヒトの腎移植でアザチオプリンを使用 

1963年:米国Starzlは胆道閉鎖症幼児で肝移植を行うが死亡。その後も彼は肝移植を続け1967年400日生存を記録。1970年代終わりまでにケンブリッジ大のCalneとともに肝移植の手技を確立
同年肺移植第1例
1964年:千葉大の中山恒明らによる心停止後の肝臓移植日本第1例 東京大学の木本誠二らによる慢性腎不全に対する腎移植日本第1例
同年膵移植第1例

1967年:米国Starzlが肝移植に初めて成功

南アフリカBarnardによる世界初の心移植。18日間生存
1968年:Barnardの2例目が9ヶ月生存。世界で約100例の心移植が行われるが、拒絶反応で死亡
同年日本で札幌医大の和田寿郎による日本初の心移植
同年ハーバード大学で脳死基準作成

1970年:スイスの製薬会社サンド・ファーマ社の社員が採取したノルウェーの土壌から生えた真菌(カビ)が、シクロスポリンAという物質をつくりだした
1972年:同社研究員BorelはCyclosporin Aが強力な免疫抑制作用を持つことを発見
1978年:Calneは死体腎移植でCyAを使用。1979年には死体肝移植でも使用

以後臓器移植の成績が飛躍的に向上する

1980年:Starzlは肝臓移植にシクロスポリンとステロイドを併用し、好成績を得た。スターツルの報告によると、肝臓移植の1年生存率がアザチオプリンの使用では38%だったのが、シクロスポリンで78%と、飛躍的に向上した
1980年:Shumwayが心臓移植に使用して、1年生存率が80%を超える成績を収めた
1983年ごろからシクロスポリンが薬剤として普及し、世界各地で使われるようになった
現在は日本の藤沢薬品が開発した免疫抑制剤FK506 (Prograf)がシクロスポリンよりも強力な薬として普及している